音楽

夏目漱石は「草枕」で言った。
住みにくき世から、
住みにくき煩いを引き抜いて、ありがたい世界を
まのあたりに写すのが詩である、画である。
あるは音楽と彫刻である。
ーと。

旅情誘う音楽をご紹介。

ブラジルの音楽

ラメントス Lamentos
ピシンギーニャ(1897〜1973)

ブラジル音楽の起源をさかのぼれば、ポルトガル、アフリカへと
たどり着く。
そして、19世紀後半に生まれたサンバは
ショーロ、ボサノバ、MPBへと発展していく。
なぜ、ブラジル音楽はかくも郷愁を誘うのだろう・・・。
ピシンギーニャはショーロを代表する作曲家。
多くの美しい曲を残した。
https://youtu.be/5fy3Qf4Ghb8?list=RD5fy3Qf4Ghb8

チェガ・ジ・サウダージ Chega De Saudade
カルロス・ジョビン(1927〜1994)

19世紀後半、アフリカから連れてこられた
奴隷たちの音楽は
ブラジルでサンバとして花開いた。
強烈な2拍子は、そのまま受け継がれ、
ショーロ、そしてボサノバへと進化していく。
”チェガ・ジ・サウダージ”はボサノバ創世記において
最も重要な作品。
ボサノバの創始者は作曲家のカルロス・ジョビン、
作詞家のヴィニシウス・ジ・モライス、
そして歌手、ギタリストであるジョアン・ジルベルト。
”チェガ・ジ・サウダージ”は多くのミュージシャンに
カバーされてきた。
ジャズの世界ではタイトルが
”ノー・モア・ブルース”として演奏される。
しかし、本家のジョアン・ジルベルトのものを
超えるものはないだろう。
複雑なコード進行の上に切なくも美しいメロディーが、
郷愁を誘う。
この曲を聴くと、コルコバードの丘から
一望したリオの美しい海岸線が目に浮かぶ。

スペインの音楽

ある貴紳のための幻想曲 Fantasia para un gentihombre
ホアキン・ロドリーゴ(1901〜1999)

スペインではルネサンス期より
近現代に至るまで
偶然か宿命か
個性的で美しい音楽が数多く生みおとされ、
優れた作曲家も枚挙にいとまがない。
スペインのクラシック音楽界では、
世界的にもっとも知名度が
高いのはやはり、ロドリーゴだろうか・・・。
アランフェス協奏曲の第二楽章の
ロマンティックな旋律は
誰もが曲名を知らずとも、
いつか、どこかで聴いたことがあるような
気にさせる。
しかし、ぼくにとっては”アランフェス”より
”ある貴紳の〜”の方が印象深い。
この同作曲家のギターとオーケストラの幻想曲は
スペインのギターの巨人・セゴビアの
依頼により作曲され
セゴビア自身が1958年に初演。
ぼくの愛聴盤はジョン・ウィリアムスと
フィルハーモニア管弦楽団の1983年録音もの。
ロドリーゴは17世紀のスペインの
作曲家・サンスのメロディーを引用し、
この”ある貴紳の〜”にいくつも散りばめた。
調和と不協和音、荘厳とユーモラス、
太陽の光とペーソス。
iPhoneの再生ボタンを押して、
目を閉じれば、そこにスペインの大地が
広がるだろう。

スペイン組曲 Suite Espanola
イサーク・アルベニス(1860〜1909)

スペイン組曲はスペイン近代民族楽派の最高峰、
アルベニス中期の傑作です。
以下の8曲からなる。

1.グラナダ
2.カタローニャ
3.セビーリャ
4.カディス
5.アストゥリアス
6.アラゴン
7.カスティーリャ
8.キューバ

スペイン、カタロニア地方に生まれた
ピアノの名手でもあった作曲家アルベニスは
残念ながら、純粋にギターのための曲は書いていない。
しかし、彼の頭の中には
フラメンコギターのサウンドが響いていたに違いない。
例えばこのピアノ組曲の中の
アストゥリアス(ギター用にアレンジされたもの)を
ギターで弾いてみれば、
弾いてる本人も、そしてその場でそれを聴いた人も
おそらくギターのために書かれた曲だと
信じて疑わないだろう。
また、アルベニスの音楽は単なる民族音楽の
焼き直しではなく、その和声には
フランス印象派からの影響も色濃く感じられる。


東欧の音楽

ルーマニア民族舞曲 Romanian Folk Dances
バルトーク Bartok Bela(1881〜1945)

ハンガリーの作曲家、バルトークも民謡採集のため
東ヨーロッパを旅した。
フィボナッチ数列や中心軸システムといった
知的で整然とした
作曲法をとったかと思えば、
ルーマニア民族舞曲のように、
土着的で切ない旋律の作品もある。
ルーマニア民族舞曲は、もともとピアノ独奏曲ですが、
ぼくは旋律を弦楽器にした
アンサンブル形態の方が好きです。
https://youtu.be/UHZt6ITdSto